「和」をテーマにしつつも「和」にこだわり過ぎない、そんなことを考えながら部屋をリノベーションしました。「和」は言うまでもなく、私たち日本人の根底にあるものです。私たちの身体に馴染まないわけがありません。

部屋は「暮らし」のインフラです。そして「暮らし」は、そこに住む人の「自然」が「時間」と出会うことで生まれます。しかし、人間はどうしても不器用なものなので、その自然は必ずしも美しいわけではありません。

生活をすれば、部屋は少しずつ汚れていきます。散らかしてしまうこともあるでしょう。でも、それが人間です。だから、「散らかすことができる」ということ、それが暮らしやすさには欠かせない条件なのです。少し外した壁紙も、一見似合わない壁掛け時計も、そのための仕掛けとして考えました。 いつも綺麗にしている必要なんてない、少し散らかっているくらいがいい、だってそれが人間の「自然」なのだから。この部屋は、そんな気負わない毎日を提供してくれます。

また、ここは集合住宅です。元々、日本の「イエ」は血縁よりも地縁が重要視され、地縁を軸とした共同体が、家業の安定的な存続を実現させてきました。集合住宅というものも、地縁で結びつく共同体の一つでしょう。 朝すれ違うときの「おはようございます」、小さなことかもしれませんが、集合住宅だからこその安心がここにはあります。日本人らしい、地縁の共同体です。これもまた、日本人にとっての「自然」です。

地方だから暮らしやすいとか、東京だから暮らしにくいとか、そういうことではないのです。 人間の不器用を支えてくれる部屋、そして、そこにある共同体(=イエ)。その二つの「自然」と、そこで過ごす「時間」、それが「暮らしやすい暮らし」を生み出すのです。

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      東京都豊島区東池袋